米国と日本の懸念先リストに大きな差、実効性に疑問符
近年、半導体を始めとした最先端技術が軍事転用されるリスクの高まりを受けて、輸出規制が本格化しています。本年10月には、米国商務省産業安全保障局(BIS)が迂回リスクへの対処を主眼に、輸出管理規則で規定される特定カントリーグループへの輸出に許可申請を必要としたり、エンティティリスト(EL)対象企業を追加するなど、日々規制の網の目を細かくしている様子が窺えます。一方、日本でも大量破壊兵器への転用リスクの高い企業名(所属国)を外国ユーザーリストに掲載していますが、要注意リストに過ぎず、直ちに輸出が禁止されているものではないため、ELよりも実効性を欠くとの指摘もあります。
米中摩擦の激化、ウクライナ情勢、中東緊迫など、近年の不安定な国際情勢や、マネーロンダリング・テロ資金供与、腐敗・贈収賄などの国際的な不正や犯罪を背景に、企業を取り巻くリスク環境はますます複雑化、グローバル化しており、今や国内外の取引先等のリスク調査やデューデリジェンスは欠かせないものとなっていますが、企業にとってリスク調査の実行は決して容易なことではありません。
一層求められるリスク調査の質的向上
先般、国内メーカーの海外子会社製とみられる工作機械が中国の核兵器開発を担う国家機関で使われていることが判明した旨の報道がありました。同メーカーによれば、販売先について調査を行い、当局の許可も得るなど、現地で正しい販売プロセスを踏んだにもかかわらず、中国国家機関に流出していた模様であり、製品の販売や取引時における相手先のリスク調査、Know your Counterparty(KYC)の徹底はもちろん、適切な調査範囲の設定の重要性(状況に応じて相手先企業のみならず、主要取引先や役員の兼任先企業、主要株主、共同研究開発先まで含めるなど)や、調査手法・深度の判断の重要性、さらに取引後のモニタリングの必要性まで示唆されるなど、調査の質的向上が一層求められる状況にあります。
実効性あるリスク調査・管理態勢の構築がますます重要に
懸念国などへの流出リスクがあるのは製品だけではありません。企業が扱う先端技術に関する情報や取引先情報、顧客データなど、いわゆる重要情報の流出にも十分警戒が必要です。 近年脅威が高まっているサイバー攻撃への備えは待った無しの状況にありますが、それに加えて、重要情報を扱う高度人材の採用や外部から共同研究者を招く際は、事前のバックグラウンドチェックをしっかり行うなど、事業リスクが構造的に高まる近年のビジネス環境において、企業の実効性あるリスク調査・管理態勢の構築がますます重要となってくるでしょう。
- 米国と日本の懸念先リストに大きな差、実効性に疑問符
- 日本企業の工作機械が懸念国に流出し軍事転用される恐れも
- 実効性あるリスク調査・管理態勢の構築がますます重要に
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- 国内外のM&Aや事業提携等における相手先のリスクDDやバックグラウンド調査
- 役員招聘、重要情報取扱者の採用などにおける候補者のバックグラウンド調査
- 地政学リスクや経済安全保障への企業の対応に資する地政学DD など