23年3月期より義務化された上場企業の人的資本開示
大手企業の非財務情報の開示が進んでいます。23年3月期より人的資本開示が義務化されて以降、上場企業各社は新しく加えられた「サステナビリティに関する考え方及び取組」をはじめ、多様性を示す「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」「男女間賃金格差」といった従業員の状況やコーポレート・ガバナンスの状況について、より具体的な開示が求められています。
一方、投資家は、企業の時価総額にも表れる通り、企業が将来稼ぐ道筋としての非財務情報を投資判断材料にしており、特に人的資本については開示内容も重要ながらその道筋の実現手段としての企業活動に注目しているようです。
投資家が日本企業の中長期的な投資・財務戦略において、重視すべきだと考えるもの
- 人材投資:67%
- 現在、又は将来の企業価値に大きく影響をすると思われるサステナビリティ関連課題(人材資本の開発・活用):77%
(※令和4年8月30日策定、「内閣官房非財務情報可視化研究会」付録資料より)
標準化・定量化の流れ、リスクの観点も重要に
開示元年となる23年3月期の有価証券報告書では、開示形式は「自由形」となっており、各社様々な形式で開示を行っています。日本経済新聞の調査(2023年6月21日朝刊)によると、主要企業81社中、27社が人への投資(人件費・人材投資)について開示する方針を示し、内14社は指標や数値を使った開示を行う方針など、企業ごとの標準化・定量化の動きがみられており、将来的にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示対応のように、人的資本の開示でも定量化や可視化が進んでいくものとみられます。
リスクマネジメントの観点も重要に
人的資本の開示は「価値の向上」の観点に加えて、「リスク」マネジメントの観点も求められており、差別事例や児童労働・強制労働の有無、業務上のインシデントの金銭的影響額といった事項も例に挙がっていることから、開示内容の裏付けとしての客観的なリスク調査も重要となってきます。
非財務情報の開示内容は企業の中長期的な成長性を占う指標として投資家が注目する法定文書であり、開示内容の不正・誤謬は投資家の損害や訴訟リスクにもつながりかねません。非財務情報の開示内容の充実が無形資産の拡大・企業価値の向上につながるよう、日々の事業活動において「リスク」マネジメントの観点がより一層求められてくるものと思われます。
- 23年3月期より義務化された上場企業の人的資本開示
- 「自由形」でスタート、将来的には標準化・定量化へ
- 非財務情報棄損リスクへの備えも重要に
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