森林伐採や土地開発が引き起こす人権リスク

昨年11月にインドネシアを襲った豪雨は、いまだに被害が拡大し続けており、多くのメディアで報道されています。死者数は1100人以上、避難者は100万人超と、まさに甚大な被害状況にありますが、この事象を単に「大規模な自然災害」と捉えることは、企業のリスク管理において、死角を生むことになるでしょう。

特筆すべきは、インドネシア政府の対応です。政府が「災害の原因を作った可能性がある」として、被災地域で事業活動を行う10社以上の企業に対し、操業停止や事業許可取り消しの検討など、極めて厳しい措置に踏み切った点にあります。背景には、異常気象は「単なる引き金」にすぎず、甚大な被害をもたらしたのは「経済開発を優先した無秩序な森林伐採や土地開発」とする「人災」の見方があります。

すなわち、このインドネシアの災害のニュースは、甚大な豪雨被害そのものを伝えているわけではなく、企業が直接引き起こしたり、関与している「深刻な人権侵害の事例」を伝えているものであり、この地での生産活動がサプライチェーンに含まれる関連企業が、日頃からの人権尊重の取り組みとその実効性を厳しく問われる話となります。

事業活動における人権侵害リスクへの感度を高める

インドネシアには、多くの日系企業が進出しています。もちろん、企業は営利活動を行う主体ですが、いまや、目先の利益を追求するだけでは、継続的に事業活動を行うことが難しくなっており、当然ながらサステナビリティの取り組みが求められます。事業活動において、どのような環境・人権課題があるのか、また、それによる負の影響はどれくらいあるのか。今回のインドネシアの事例のように、何か被害が起きてからでは手遅れになる可能性もあります。

例えば、パーム油やコーヒー、ニッケルなどの主要産地である同国での道路寸断は、物流の麻痺による供給制約から原材料価格の高騰などの影響も出てくる可能性があります。さらに、SNS等で被害の実態が拡散されれば、NGOや投資家から厳しい追及を受け、会社のレピュテーションリスクや製品の不買運動などにもつながりかねません。

今回の事例は、企業による森林伐採や土地開発が、「先住民族や地域社会の権利の侵害」「土地の権利の侵害」といった、深刻な人権侵害に直結することを示しています。かつては環境課題と人権課題は別個のものとして扱われがちでしたが、いまや「環境課題は人権課題」という認識がグローバルスタンダードになりつつあります。企業が、法令上の許可を得て開発を行っていたとしても、結果として地域住民の命や生活基盤を脅かす要因となれば、その社会的責任は免れません。

自然災害リスクを単なる「物理的リスク」として捉えるのではなく、自社およびサプライチェーン上の事業活動が環境への負荷を通じて人権侵害につながっていないか、潜在的な人権リスクを特定・評価する人権リスクアセスメントを強化するなど、人権侵害リスクへの感度を高め、デューデリジェンスの実効性を高めていく必要があります。何か起きてから対応するのではなく、平時から人権リスク情報の収集やステークホルダーとの対話を通じて、人権課題を特定・評価し、ステークホルダーへの影響を精査するとともに、負の影響を防止・軽減するプロセスを構築することが、持続可能な事業活動につながることになるでしょう。

  • 森林伐採や土地開発が引き起こす人権リスク
  • サステナブルな事業活動につなげる人権DD

当社がお役に立てること

事業活動に人が関与する限り、人権リスクをゼロにすることはできません。当社は以下のサービスを通じて、皆様の人権DDの実効性を高めるサポートを提供しています。

(一例) 【人権リスクマッピングや特定サプライヤーの人権リスク情報抽出】

  • 世界のNGO、ニュースメディアなどから人権リスク情報等を抽出・分析・評価する独自開発のAI調査ツールにより、サプライチェーン所在国や業界、原材料調達における人権リスクマッピングや特定サプライヤーの人権リスク情報抽出などを行います。
  • 弊社では、この他にも企業様を「リスクと機会」の両面から幅広くサポートさせていただいております。どうぞお気軽にご相談ください。

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