緊迫する国際情勢
近年、ウクライナ情勢や中東の不安定化、ミャンマーやアフリカでのクーデター、米中摩擦、台湾有事懸念など、世界各地で紛争や緊張の高まりが見られます。冷戦終結以降、約30年に亘ってグローバリゼーションが進行し、情報通信技術の急速な発展も相まって世界貿易や国境を越えた投資が拡大、世界経済の成長に繋がってきましたが、近年は米中覇権争いやグローバルサウスの台頭など世界のパワーバランスが流動化する中で、大国間の競争が激化し、経済的なブロック化が進行しています。この混沌とした新冷戦・保護主義時代への突入により、企業の事業環境もますます複雑化、不安定化しています。
長らく続いたグローバリゼーションの流れの中で、国際分業体制が進み、企業の生産性や収益性の向上に寄与してきた反面、企業のサプライチェーンはトレースが困難なほど世界に複雑に広がり、感染症の拡大や地政学リスクなどに対する脆弱性を露呈することとなりました。この「内向き」「対立」時代において急速に高まる地政学リスクへの対応こそ、まさに企業の喫緊の課題と言えるでしょう。
地政学リスクと連関する人権リスク
さらに企業にとって、地政学リスクへの対応とともに重要なのが人権リスクへの対応です。9月16日の日経新聞朝刊記事「海外事業、引き際のワナ」では、企業の海外からの撤退を巡り、法令や契約とは別に人権侵害を及ぼすリスクの観点から判断することを企業に求める国際的な世論が強まっており、特に欧米企業では人権への配慮を織り込んだ撤退戦略も見られる、との旨が記載されています。
地政学リスクと人権リスクが連関する例として注目されますが、戦争やクーデターなど地政学リスクが顕在化した国からの事業撤退や縮小においても、当該企業の現地従業員や現地取引先の従業員、消費者などのステークホルダーの人権に配慮した「責任ある撤退」を企業に求める声は今後さらに高まっていくと思われ、企業活動における「人権尊重」はますます中心的なテーマになっていくものと思われます。
平時からの情報収集・備えがますます重要に
緊迫する国際情勢において、特に海外に事業展開する企業にとっては地政学リスクや人権リスクへの対応は極めて重要です。そのため、地政学リスク対応では平時から関連リスク情報の収集・分析・評価を継続的に実施し、事業戦略に反映するとともに、BCPなどリスクマネジメント計画の策定や更新により、リスク時の対応策を明確にしておくこと、また人権リスク対応では人権方針の策定や人権デューデリジェンスの実施、救済措置対応などが不可欠ですが、そのプロセスにおいて、NGOなどの市民社会の声をよく聞くとともに、事業に絡むステークホルダーと対話を行うなど、平時からの継続的な情報収集や対話などを通じた備えがますます重要となってくるでしょう。
- 緊迫する国際情勢において重みの増す地政学リスク
- 企業活動における「人権尊重」が中心的なテーマに
- 平時からの情報収集や対話などを通じた備えがますます重要に
当社がお役に立てること
JPR&Cでは、お客さまニーズに沿った「地政学デューデリジェンス」や「人権デューデリジェンス」の各サービスの提供を通じて、関連リスクの極小化とサステナブルな企業価値向上に資するインテリジェンスを提供してまいります。