西村康稔経済産業相(当時)は、英国国際戦略研究所(IISS)でのスピーチにおいて、重要物資のサプライチェーンで環境負荷や労働・人権などの国際基準を満たす物資の購入に補助金を出し、政府調達で優遇する政策案を表明しました(2023年9月7日 日本経済新聞朝刊)。優遇の対象となる物資はその製造過程において、強制労働に頼らず、環境にも十分配慮されているものが想定されています。

日英政府は今般、サプライチェーンを特定の一国に過度に依存しないようにデリスキングを進め、経済安全保障を確保する目的で「日英戦略経済貿易政策対話」を立ち上げましたが、スピーチで強調されていたのが、**“level playing field(平等な条件)”**という概念です。 これは、たとえ特定の国の製品が安価であっても、それが莫大な補助金によるものだったり、環境に負荷をかけたり、強制労働に頼っていれば、“level playing field”は確保できず、安価だからといってこの国にサプライチェーンが集中するのはフェアな競争とは言えないというもので、サプライチェーンの一国集中リスクの緩和に向けた考え方を示したものと言えます。

実効性ある人権デューデリジェンスが不可欠

企業による人権の取組みについては、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業行動指針」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、国別行動計画などに基づいて、主要国企業で実施され、欧米では人権デューデリジェンスの義務化も進む中で、日本企業も「ビジネスと人権」の取組みの必要性が格段に高まっています。

さらに、近年はエコノミック・ステイトクラフト(※)や経済安全保障の観点から人権対応が求められており、昨年施行された米国ウイグル強制労働防止法や、今般の物資購入における優遇政策の表明も、経済安全保障の観点での人権対応要請の一例と言え、企業による実効性ある人権デューデリジェンスは必要不可欠の取組みとなっています。 (※政治的目的を達成するため、経済的手段によって他国に影響力を行使すること)

人権デューデリジェンスでは、国内はもちろん、海外に広がるサプライチェーンについて人権リスク情報を収集し、対応の優先順位付けや、強制労働など人権侵害が疑われるサプライヤーの調査などが求められます。サプライヤーに対するSAQ(自己評価)アンケートでの情報収集も行われていますが、SAQアンケートでは実態が掴みづらいケースもあり、当該アンケートに加えて、日々更新される各国・各業界の人権状況をめぐる情報収集活動や客観的な調査が欠かせません。

  • 供給網の集中リスク緩和に向け、人権や環境の取組みを重視
  • 「経済安全保障」でも要請される人権課題への取組み
  • 実効性ある人権デューデリジェンス(DD)が不可欠

当社がお役に立てること

【人権リスクマッピングおよびサプライヤーの人権リスク情報抽出】

  • 公的機関や世界のNGOが更新する人権リスク情報などを網羅する独自開発ツールを活用した、サプライチェーン所在国や業界における人権リスクマッピング
  • 同ツールによる世界のNGO情報やニュースメディア情報に基づくサプライヤーの人権リスク情報の抽出
  • 強制労働、児童労働など人権リスクが顕在化・潜在化するサプライヤーの詳細調査

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